カテゴリー別アーカイブ: 会社設立コラム

会社設立を税理士に依頼する場合の注意点

税理士に仕事を依頼するとき、すべてをまかせきりにすればいいというものではありません。依頼する内容等によっては、注意が必要になるときがあります。

例えば、会社設立を助けてもらおうとしたときです。会社を設立するときの相談先として、司法書士事務所、行政書士事務所、税理士事務所、公認会計士事務所がありますが、この中で会社設立にかかわる書類の作成や代行を行えるのは、司法書士事務所、行政書士事務所だけです。

税理士の事務所の中には会社設立のサポートを行っているところもありますが、これらは会社を設立した後に顧問になることがセットになってサービスを行っていることが多いのです。

そのため、すでに経理、税務関係の顧問を決めていながら、会社設立サポートを行っているからといって税理士事務所に依頼をしてしまうと、設立後にトラブルとなる場合があります。

そして顧問契約をするときにも注意する点がいくつかあります。例えば業務の内容についてです。
毎日の経理については自社で行って、そのチェックと決算については税理士にお願いするといったように、どこまで税理士にお願いして、どこまでが自社で行うのかを明確にすることをおすすめします。というのも、依頼される業務の内容や量によって顧問料が大きく異なってくるからです。

高い顧問料を支払っているかといって、何から何まですべてを行ってくれると思ってはいけないのです。あいまいな契約は、トラブルの元になります。そうして依頼の内容を明確にした上で年間の顧問料や、節税対策を行ってもらうためにはいつまでに依頼をしなければならないのかなど、コストを把握するようにしましょう。

特に追加書類の作成など、契約内容に含まれず、オプションとなって別料金が発生するものについてはあらかじめ把握しておく必要があります。

会社らしくするのに必要な什器備品

会社を設立した場合、本店所在地を自宅にするのは何の問題もありませんが、場合によってはそこを会社にして、自分は別の場所に住むということもあります。
そうなると今までの自分の部屋を事務所らしくしたくなるでしょう。
そこで、どのような設備を整えれば事務所らしくなるかを考えてみましょう。
まず、デスクは2つあるほうが良いでしょう。ひとつは自分のデスクでもうひとつは書類を置いたり、作業をするためです。
椅子は自分用のほかに最低2脚あるほうが良いでしょう。さらにパーテションと応接セットも欲しいところです。
仕事用のツールは業務内容により異なりますから常識的な設備としては、パソコン、スキャナー、ファックス、コピー機、プリンター、固定電話などですが、そのほかに冷蔵庫、コーヒーなどの接客用用品も欲しくなります。
つまり事務所には台所用品などもあるほうが便利で、ゴミ入れなども必要になります。
さらに、ドアには会社名を掲出しますが、これはパソコンとプリンターがあれば作れます。
さあ、これで事務所らしくなりましたから、仕事の意欲も高まりますし、お客様の心証も良くなるでしょう。
また、ビルの一室を事務所として借りる際には、その部屋のレイアウトを充分に吟味しなければなりませんし、できればやや広めの部屋のほうが将来従業員が増えた時に便利になります。
会社はとりあえず一人で設立したとしても、起業家としてはその会社を大きくするという意欲がなければなりませんし、将来仕事が順調に伸びて従業員が増えた時のためにも、最初から広めの事務所を構えるようにしましょう。

会社は自宅でも設立できます

会社を設立するとなると、とかく最初に頭に浮かぶのは事務所ではないでしょうか。場合によっては、会社設立の手続きと並行して事務所探しをすることもありますが、一人で会社を設立する時には無理をしないで、自宅もしくは自室のレイアウトを考えて、そこを事務所優先に模様替えする程度で構いません。
すなわち、自宅を事務所にするのですが、そのための最低限の什器備品を備えておけば何とかなるものです。
ただし、これではクライアントなどお客様をご案内することができませんから、そのような時のために自宅の近くなどの喫茶店などを接客の場所として確保するようにしましょう。
なお、自宅が会社だということがクライアントには分からないような業種でしたら、特に急いで事務所を構える必要はないでしょう。
ただし、クライアントを招くような業種の場合は、自宅を事務所がわりに使うことができませんから、事務所を構えることになるでしょう。
最低限の設備でコピー機をと考えたりもしますが、近くにコンビニがあればコンビニに備えてあるコピー機で間に合いますから、できるだけ什器備品にはお金をかけないようにするのが良いでしょう。ただし、パソコン、スキャナー、ファックス、電卓などは必要になります。
なお、自宅を事務所にするのは考えようでは24時間営業が可能なのですから、通勤代と通勤時間がかからないというメリットもあります。
クライアントに迷惑がかからなければ仕事に支障はありませんから、一人で会社を設立する場合自宅を本店所在地にするのは、半ば常識と割り切りましょう。

一人社長は忙しいのを覚悟の上で…

会社を設立するということは起業ですから、起業と言うからには設立した会社に全身全霊を打ち込まなければなりません。特に脱サラ的な場合はなおさらで、もう誰もお給料をくれないのですから自分で稼ぐしかほかに方法はありません。
つまり、会社を設立するからには相当の覚悟が必要になります。
一人社長の株式会社の場合、代表取締役としての自分、社員としての自分になりますから、何から何まで自分で業務を行わなければならないのですから、かなり忙しくなるのは当然と考えて、しかも身体をこわさないようなケアも必要になります。
一番安全な会社設立は、会社が稼働しはじめる時に顧客、つまりクライアントがついていることで、それも複数のクライアントなら理想的です。
会社を設立したまでは良いとして、さて仕事をする先が無いというような場合は、クライアントをつかむまでの間、貯金を崩して生活をしなければなりませんから、かなりのリスクが伴います。
また、今では携帯電話があるので仕事がしやすくなりましたが、対外的に心証が良いのは固定電話ですから、最低1名のお手伝いさん的な社員が欲しいところです。
妻帯者であれば、奥さんの電話番を頼むと言う方法も考えてみましょう。
また、先ほど複数のクライアントがあると安心できると言いましたが、注意しなければならないのは、約束などがダブらないようにすることで、別の約束があるからなどという言い訳は禁句です。一つのクライアントと約束をした日時に別のクライアントから呼び出しがかかったりした場合は、良い意味の“噓も方便”的な言い訳をしなければならないこともあるでしょう。

合同会社、合名会社、合資会社について

現在認められている会社の形態には、株式会社、合同会社(LLC)、合名会社、合資会社がありますが、このうちの合同会社、合名会社、合資会社について、簡単ではありますが、説明をします。

合同会社(LLC)

出資者は1名以上で、出資者は社員の身分、最低資本金額は1円、出資者の責任範囲は出資金額の範囲内で、出資金の譲渡は社員間では自由ですが、社員全員の合意が必要になります。役員は業務執行社員と呼ばれ、任期に制限はありません。また、会社の代表者は代表社員とも呼ばれます。節税対策に関しては株式会社とほぼ同じですが、社会的信用度の点では知名度が低いようです。したがって、どうしても合同会社よりは株式会社として会社を設立するケースが多くなります。

合名会社

出資者は2名以上が必要になり、身分は社員ですが、最低資本金額に規定はありません。出資者の責任範囲は債務金額の範囲内で、出資金の譲渡は社員の承諾があれば可能です。なお、役員は社員全員で、したがって代表者は特にありませんが、代表者を定めることもできます。また、節税対策には制限がありますから、この点が株式会社や合同会社とは異なります。

合資会社

出資者は2名以上で、身分は無限責任社員になります。最低資本金額に規定はありませんが出資者の責任範囲は債務金額、あるいは出資金額内です。出資金の譲渡は無限責任社員の承諾があれば可能です。役員としては無限責任社員が経営者になりますが、その任期に制限はありません。なお、節税対策には制限があり、この点では合名会社と同じですから、それなら株式会社や合同会社にしようということになるようです。

できれば税理士事務所と契約をしましょう

会社を設立するためには様々な書類や印鑑などが必要になりますが、そのすべてを無事にクリアすれば、会社はひとつの法人格として誕生します。
会社を設立すると言う目的はその法人格の名において仕事をして利益を上げることですから、当然活動に伴うお金の動きがあります。
この毎日の流動性のあるお金の動きを記録して、この仕事ではどのような支出があり、それがどのような性質の経費であるか、さらにはいくらの収入があり、その収支を見た場合、その仕事が利益を産みだしたか、トントンであったか、あるいは支出が利益を超えた赤字であるかを知らなくてはなりません。
しばしば見られるのが忙しく働いているのに一向に利益があがらないという業務ですが、このような場合は収支の項目を見直す必要がでてきます。
さらに、税務署に年度末時点での会社の収支を報告することで、事業税その他の税額が決まりますが、この収支決算報告書の作成は簿記の知識が無いと難しい作業です。
そこで、多くの場合、会社を設立した場合はしかるべき税理士あるいは税理事務所に、この作業を依頼することになります。
税理士は個人の場合と事務所がありますが、できれば早めに決めておくことが良いでしょう。税務関係のプロである税理士から、経営に関するアドバイスを得られることも多々ありますから、そのような場合税理士は経営コンサルタント的な存在になります。
そうすれば、税理士は第三者的な立場から経費の無駄遣いを指摘してもくれるでしょうから、自分で気がつかなかった無駄が発見できて、経営方法の改善を図ることができます。

会社を設立したら必要な帳簿について

会社を設立すると、当然定款にある業務を行いますが、その業務では必ず金銭の動きがあります。すなわち、支出であり収入ですが、これは毎回正確に記録をつけなければなりません。
いわゆる会計日記ですが、これは1日単位で記録をつけて、月単位で小計をまとめ、さらに事業年度単位で収支報告書にします。
会社としては仕事が暇では困りますが、仕事が忙しくなると、とかく手が回り切らないのがこの会計日記への記録になり、今日の分は明日に回そうなどというケースがあるようですが、これが一日延ばしにするとすぐに一週間分が溜まってしまいますから、そうなると記憶も不確かになることがあります。
したがって、会社には一人社長以外に、この会計日記を記録する人がいるほうが望ましいと言えます。
また、仕事の売掛け記録も重要で、どのような仕事をして、そのためにいくらの支出があり、いくらの収入が望めるかを計算しないと、その業務で会社が利益をあげているのかどうかが曖昧になり、いわゆるどんぶり勘定になってしまいます。
なお、会計日記帳に記入する際に重要なことは、支出の項目で、例えばこの食事代は福利厚生費に該当するとか、このタクシー代は営業交通費として計上できるかなど、ある程度税理士的な判断基準が要求されます。会計日記帳への記入に際しては、ただ支出、収入だけを記録すれば良いというわけではありません。
したがって、事業年度末に作成・税務署への提出が義務づけられている収支決算報告書(バランスシート)に曖昧な点があると、税務署から説明を求められることになります。

株式会社のデメリットとは

この世の中にはメリットだけでデメリットが無いということはまずあり得ません。メリットがある半面でデメリットがありますし、時にはメリットがデメリットに変身したりもします。
そこで、ここでは株式会社のデメリットについて見ることにしますが、これらをデメリットとして見るかどうかには個人差があるようです。
まず会社は法人格ですから、私たちと同じように会社の所在地に住民税を収めなければなりませんが、個人の場合とはことなり、たとえ会社が赤字でもこの住民税を納める義務があります。この金額は所在地で異なりますが均等割り額を収めなければなりません。
次に、会社は個人であれば加入しなくても済むような保険への強制加入が必要になり、この保険料が会社の経営を苦しくする場合があります。
また、メリットとして交際費が経費として認められるのですが、これは全額ではなく、90%までで、この差の10%がデメリットと言えるでしょう。
そのほかには、法人であるがゆえの事務負担が必然的に増えることで、個人事業以上に事務処理が煩雑になります。
これは税金の額を決めるための税務申告の手続きなどが複雑になることですが、そのために税理事務所などに税務申告書類の作成を依頼することになり、その費用が発生します。
さらに、会社として事業を止める際には解散・清算の手続きが必要になります。
このように見てきますと、株式会社としてのデメリットは、基本的には個人事業と比べて強制的な義務がいくつかあることですが、例えば納めなくてはならない税金が期日内に納められない場合は、分納という方法もありますから、それほど深刻なデメリットにはならないかも知れません。

株式会社のメリットについて

ここでは株式会社を設立するメリットについて見ることにしますが、このメリットはほかの種類の会社でも基本的にはあまり変わりません。
なお、この株式会社のメリットは、個人事業で年間の所得が600万円を超すような場合と比較した場合と考えてください。
まず、個人事業よりも会社組織のほうが、対外的な信用が高くなるのは間違いがないでしょう。
また、将来的に融資を受ける場合も個人よりは会社であれば経営内容が明確になりますから、金融機関からの心証が良くなります。
次に、個人とは取引をしないという会社が多いのが実状で、既存の会社は会社間の取引を望みます。また、税金の点でも個人事業より会社組織のほうが何かと有利になりますが、例えば個人事業の所得税よりも会社組織での社長の役員報酬(給料)の所得税のほうが得になります。さらに会社のメリットには、様々な項目での経費が認められますから、大きな節税効果が得られます。
すなわち、社長としての個人の生命保険料は必要経費として課税の対象になりませんし、旅費規定を使えば交通費はすべて経費に計上されますから、これはかなりの節税になります。また、接待交際費という名目で、レシートや領収書があれば、ある一定額までの飲食費は経費として認められます。
さらに資本金が100万円未満の場合は設立の後の初年度には消費税がかかりません。
つまり、会社の必要経費として認められる項目が増えますから、かなりの節税になります。
ただし、この制度をこれ幸いと、常識の範囲を超えて利用すると、脱税行為に該当しかねませんから、公私混同には充分な配慮が必要になります。

法人の銀行口座を開設しましょう

会社設立で資本金の払い込みは自分の銀行口座にしますが、実は会社を経営していて会社がクライアントの仕事をして、その支払いを受けるのには自分の銀行口座でもかまいません。
しかし、そうなると公私混同をしかねませんから、通常は会社として入金を受け取る法人の口座を開設します。
つまり法人口座を開くのですが、これはどの銀行でもかまいません。しかし、いわゆるメガバンクと言われている大手の都市銀行では法人口座の維持費がかかりますし、振り込み手数料もかかります。
ただし、ネット銀行であればこのような維持費はありません。
しかし、ネット銀行は通帳がないということで極めて不便で、個人として利用するのはかまわないのですが、法人口座にはあまり向いていないようです。
確かにメガバンクに法人口座があるのは悪くはないのですが、そこで、地方銀行、あるいは信用金庫などに口座を開設ということになりますが、例えばゆうちょ銀行であれば口座維持費はかかりません。
さらに法人名義でキャッシュカードも作っておくと何かと便利でしょう。
なお、ゆうちょ銀行は全国に店舗数も多いので、何かと便利なようですが、これは公平な視点からの見解ですから、誤解のないように願います。
ただし、会社の業務で獲得したクライアントから、取引銀行を指定されるような場合もあるようですから、そのような時には複数の銀行にも法人口座を開設することになります。
そのような場合はそのどれがメインバンクなのかを決めておくことが良いでしょう。
これは将来、事業で融資を受ける必要が生じた場合に、出入金の頻度が多い法人口座のほうが融資の審査では有利になることがあるからです。